「ほんまやね。」
俺は振り返ってしまった。
そこにおったんは
一年前に死んだはずの沙代子やった。
俺は信じられへんくて
言葉が出ぇへんかった。
「史規、変な顔お♪♪」
沙代子が笑う。
「…沙代子。」
「約束、覚えてくれたんやね??」
「当たり前やろ。男に二言はないねん。」
そう言うとまた沙代子が笑う。
「ここやとあんま見れへんから、あの場所行こお!!」
沙代子はそう言って、俺の腕を掴んで走り出した。
掴まれた腕は何でか寂しかった。
沙代子に連れてこられたとこは、去年と同じ場所。
地元の人やないと知らん穴場スポットや。
「やっぱここのが綺麗に見れる。」
相変わらずの笑顔で笑う沙代子。
俺はその横顔を見つめてた。
「史規、そんな見つめんといてよお。」
「あほ。
お前なんか見てへんわッ!!」
「もぉ----!!!!史規のあほッ!!!!」
沙代子はほっぺたを膨らます。
このまま時間が止まればええと本気で思ぉた。
せやけど、
時間は無情にも過ぎていく。
「これが最後の花火です。」
アナウンスが聞こえる。
「もう最後なんや...
あたし行かなあかんねん。」
「えッ??」
沙代子の言うてるコトが、俺は理解できへんかった。
「史規、今までありがとう。
世界で一番愛してる。
天国でずっと史規のコト想って見守ってる。」
沙代子は目に涙をためながら笑う。
「沙代子、沙代子ッ!!!!」
沙代子はだんだんと消えてく。
俺はまた沙代子に何も伝えられないまま
離れてしまうんか??
伝えたい想いは言葉にせな伝わらへん。
「沙代子、俺こそありがとう。
今でも世界で一番沙代子を愛してる。」
伝えたいコトはたくさんあったけど
ほんまに伝えたかったコトはこれやった。
「早く彼女見つけてね。
大好きな史規が幸せなのが
あたしの一番の幸せやから...」
沙代子はもう消えてた。