2009年10月1日午前2時2分
突然、ドーンという音と共に突き上げるような激しい揺れを感じ、瞬く間にギシッギシッギシッと家が鳴る横揺れが10秒間続いた。
亜紀は、ちょうど深い眠りに就いていた。その一発のドーンという下から突き上げる激しさに一瞬パニックに陥ってはいたが、すぐに地震だと気がついた。
亜紀の夫である翔は、不思議な力を持っていて、この日もマグニチュード5の震度5以上の地震が、私たちの住む神奈川県を揺らすから注意しておかないと危ないからと言われていた。
翔は、亜紀に被害が出るほどの大地震にはならないから決して慌てないように釘を刺されていた。
亜紀は、翔からの言葉を思い出すと一瞬のパニックも収まり、隣りで寝ている翔の左肩をトントンと軽く叩き、小さな震える声で翔、地震よと言って起こそうとした。
その間髪を入れずに、翔が亜紀の右肩辺りを押さえて、大丈夫、大丈夫だよと言葉を発していた。
翔は、無意識のうちに亜紀を安心させないといけないと思ったのであろう。
実は翔は、この所の寝不足で、疲れが取れないから、今日こそは早く寝ようと思い、午前12時に就寝したのである。
翔も、寝付いて2時間過ぎた、ちょうど深い眠りに入ったばかりの出来事で、突然のドーンと突き上げるような音、ギシッギシッギシッと家が激しく横揺れと共に鳴き叫んでいる感じで、夢なのか現実なのか頭の中で葛藤しながらも亜紀を安心させなければと大丈夫だよと声を掛ける。
翔と亜紀は、ダブルベッドで寝ていた状態のまま、どちらからともなく、お互いの顔を見合わせながら、地震だよねと確認を取り合っていた。
翔は、亜紀に言った。
この地震は、近場の震源地だ。
でも、今の揺れは、震度3くらいだな。
もう、大丈夫だから安心しなよ。
上着でも羽織って下に来な。
翔は、亜紀に、少し慌てた口調で、俺は震源地を調べるから、先に下に行くからね。と言い残して走るように階段を降って行った。