あの人を好きになったのは19の冬だった。
人生2度目の一目惚れ。あの人の笑顔は、もうとにかく完璧に可愛い。あくまで僕の主観。試しに友人の何人かに、゛あの娘可愛いくない?″と聞いてみたところ、゛どこが?″とか゛全然可愛いくない″とか言われた。でも、そんなの関係ない。彼女が好き。
いつの間にか、人が集まる場所では彼女を探すことが僕の癖になっていた。ただ一目見ただけで嬉しくなってしまう。
ある時僕は2ヶ月ほどの教育を受けることになる。
信じられないことに彼女も同じ教育を受けることになっていた。もちろん二人きりというわけではなかったが、ここでやっと彼女と知り合いになることができた。
それから2ヶ月はもうサイコーだった。朝起きて職場に行くだけで彼女に会える。゛おはよう?なんてたかが挨拶が嬉しい。誕生日も知れた。何人姉妹だとかも。見えっ張りで負けず嫌いってことも。
そして、2ヶ月は終わった。その頃の僕は彼女と知り合いになれただけでもよかったなんて思っていた。
僕は後になって知る。一目見ただけで浮かれてしまうようでは、彼女の彼氏にはなれないと。
結局人生2度目の失恋をすることになる。