「よろしく!」
切り出したのはあたし。
休み時間になっても彼の周りに人だかりは出来なかったのだ。
「…おう。」
彼はあたしの顔も見ず無表情で答えた。
「えーと、名前は?」
「……たける」
そう言うと紙に何かを書き始めた。
「これ。」
彼の差し出した紙には 【毅琉】
とだけかかれていた。
「こんな字なの?」
「そう。」
「あたし、佐倉 美保って言うの。」
「佐倉?」
「うん。」
まさか聞き返されるとは……
しかも目があたし見てる。
『格好いいかも…』
前髪で見えなかったけど整った顔。
その目はあたしを真っ直ぐ見てて・・・
思わず顔を背けた。
なんかドキドキしてる。
「佐倉って前の学校にもいてね。」
彼は1人で話し始めた。
「俺と付き合ってたんだ。」
「そうなんだ。」
「あのさ…」
彼が何か言おうとした時、
「美保〜」
悠哉があたしを呼びにきた。
「ごめん。また後で」
この瞬間が好き。
クラス中に彼氏がいる事を見せつけて優越感に浸る。
最低な女=あたし
その通り、ピッタリだと思う。