ネロの顔はまだ怒りに満ちていた。
マルーンの人間がこんな仕打ちや差別を受けるのは全部あの神のせいだった。
なのにフェーンの人間に対して慈悲深さを見せつけ良い『神』を演じやりたい放題している神が気にくわなかった。
「…う…うぅ…」
リオンのうめき声が聞こえネロは急いで駆け寄った。
「リオン…!!お前…目…」
「…う、うん…何も見えない…けど、大丈夫……まだ右目があるから…」
リオンは笑顔を見せたが明らかに無理やり作った笑顔だった。
「…すまない…結局お前だけに…辛い思いをさせてしまった…ごめん……」
ネロはフェーンから受けた仕打ち以上にリオンに辛い思いをさせてしまったことが悔しかった。何もできなかった自分に対しての怒りもあった。
「ネロは悪くないよ…それに私のこと守ろうとしてくれた…いつもケンカしてるネロがそんなことしてくれるなんて意外だったけど…」
ネロは自分のあまりの不甲斐なさに返す言葉もなかった。
それから2人は5時間かけてマルーンに帰りついた。