病院からの電話。
大体予想はついていた。
そう、母の容態が悪くなり危篤だった。
特に慌てたり、焦るわけでもなく。とにかく病院へと足を運んだ。
病室につくと看護婦さんが「早く処置室へ行きなさい」と言って僕の肩を小突いた。
ベッドに横たわる母をみて、生まれて始めてではないか?大粒の涙を流した。
途端に、焦りをかんじた。まだ母は生きている。何かしてやれないか?もう時間がない…「先生!助けてください…お願いです」
今更取り乱しても先生は「もう…手はつくしたんだ…すまない」
すると、ふとあの箱を思い出した。
「コマッタトキニ」
無我夢中で病院を飛び出し、自宅へ走っていた。
甘く生きてきた人生で、何かのためにこんなに必死になったのは初めてだった…
そお。母を大切なんだって…今頃気付いたわけだ。