何処までも鬱蒼と茂る森の中をヒョーロク玉…いや、もとい。白い学ランの男は進んでいた。名はリュービ。
「………………………。って、校門をくぐってからかれこれ三日…。案内板を辿れど校舎の影どころか、このジャングルすら抜けられんとは…」
リュービは襷掛けの鞄をま探ると確保しておいたアケビやらザクロやらを取り出し、口にしながらぼやいた。
ガサガサ……。
リュービはまた身を強張らせた。この数日間に出会った?や?や?や?や?を思い出したからである。しかしそれら猛獣ではない事はすぐに判った。
「いやぁ〜やっぱ校則を破るのはたまんねぇな〜」
「だな。まさか誰も俺らが授業サボって森でUNOしてるとは思うまい。あ、リバース!」
覗き込むリュービが見たのは確かにカードゲームに興じる学生数名。更に妙なのはその全員が黄色い布を身につけている事だった。
「むぅ。まさかカラーギャング? 怖いから逃げよ〜なんて言うと思ったら大間違いがい! おい君達! 昼間っからこんな密林地帯でカードゲームとは何事だっ!!」
「うお! やべぇ、風紀軍かそれとも先公か!?」
「ってまて、ノリオ。ただのヒョーロク玉だ」
「なんだただのヒョーロク玉が脅かしやがって」
「バカ! ビビってんじゃねぇよ。俺たちゃコウキンの志士だぞ!」
「なるほど。黄色い布をシンボライズして黄布(こうきん)という事か」と感心したかの様にリュービ。
「え? そのコウキンじゃないよ? ね、タカシ?」
「うん。僕達は高祖チョーカク様の元、大人達の決めたレール、即ち校則を破る、逆に僕達が校則を禁ずる為の革命軍。校禁軍なんだ。あ、リバース!」
「ふ…所詮は自分よがりのお子ちゃま集団か…」
「何だと? ヒョーロク玉…貴様俺達を侮辱したか?」
場が途端に殺気立つ。
「ふふふ…聞け逆賊共。俺は貴様等など一瞬で消し去る“瞳の中の宇宙”を持っているのだ」
「瞳の中の宇宙? 確かに黒目がちの綺麗な瞳の彼だなとは思ったが…」
「八っつあん。そんなのはったりだ!」
「フハハハハっ!! ならば見よ! 我がコスモの力を!」
グゴゴゴゴゴゴゴ……