その夜。
「由成ぃ!!お友達から電話よぉ!2階にまわすわね!!」
「わかった。」
『もしもし?』
「あー。実奈か。どしたの?」
『どしたのじゃないわよ!!聞いて!スクープ!今日ね、尾高が3組の超美人で有名な「さつき野
彩香」に告白されたんだって!!!』
由成は、ドキッした。昼間に言われた、あの一言。
――――――――――尾高は一応モテてんだから。
「・・・いない。」
『え?』
「私には、関係ない!!!」
実奈にそう怒鳴ると、電話を一方的に切った。
「関係ないのにっ・・・。」
後から溢れてくる涙は、どうしようもなかった。
プルルルルルルッ
雄の家でも、電話が鳴った。
「もしもし。」
『雄!!!』
キーンと響く声がした。
「なっ。誰だよ!」
『この声聞いて、わかんねーのか!?俺だ!!悟だ!!』
「あー。なんだよ。」
『なんだよ。じゃねーよ!!てめー、どうすんだ。』
「何がだよ。」
『何がだよ。って、鈍すぎだ!!このスカタン!』
悟が言いたい事はわかっていた。わかっていたが、わからないふりをした。
『とりあえず、相手が何であろうと俺は許さない。今までやってきた事は、水の泡になりかねない
からな。』
「水の泡ってお前なぁ。」
雄は、あきれた様に返事を返す。
「俺の好きにするよ。」
『おいっ!雄!!』
雄も、一方的に切った。
「さてとっ・・・。」