「大人気だな。」片翼の中年の天使は幼児たちに襲われている龍華を見て微笑えんでいる。
「親爺!!
黙って見てないで止めろよ!!」
「見てて面白いからやだ。」
そう言うと親爺と呼ばれた龍華の義父である真治=マクセムは声をあげて笑った。
「あんたそれでも保育士かよ…」
「お前こそ息子が親にあんたはないだろう…」
「話しを変えんな!!」
そして二人の他愛の無い言い合いを見ていたエルファはある事を思い付いた。
「それじゃ次はちょっと大掛かりなマジックをやるからね。」
そう言って移転魔法で良く手品ショーでやるギロチン台を出した。
「それじゃみんなの大好きなクロちゃんにギロチンの餌食になってもらいましょう!!」エルファは処刑人に龍華を指名した。龍華は機嫌が悪かったらしく怒鳴った。
「おいエルファ!!なんで俺なんだよ!!
そこにいる奴等を処刑すればいいじゃねえか…!!」
シーン………
教室が静まり返った。
「「冷酷野郎…」」
エルファと真治の言葉が見事に重なった。
「親爺さん…そいつ生かしておけませんね…」
ニヤリ…
「処刑だな」
ニヤリ…
二人共ノリノリだ。
そして龍華は二人に強制連行されてギロチンのロックがガチャリと閉められた。
「クロちゃん死んじゃいやー」
「あたしを置いていかないでー」
「あたしとけっこんするって言ったでしょ?」
「死ねー!!」
「さっさと殺しちまえー」
「ブーブー」
「男の敵めー!!」
様々な悲鳴や罵倒が飛び交う中、エルファ死刑執行人が最後の質問をする。
「何か最期に言い残す事はないか?」
龍華は一言
「馬鹿だろお前ら」
ザシュ!!
ガラガラ…
「失礼しまーす。」
麗奈、美姫、田村の三人は教室のドアを開けた。
「えっ!」
麗奈は目が点となった。
「あれは…天使なの?」
美姫は麗奈のリアクションを超えて驚愕している。
「「あぁっ!!」」
ギロチンで処刑されたままの龍華とエルファの声が見事に重なる。
………
何故か数秒間しらけたが…数秒間後「「「わあぁあぁぁー!!」」」
「「「レイ姉ちゃん!!」」」
「「「美姫姉ちゃーん!!」」」
歓声をあげて二人の元へと駆け寄って行った。観客を取られた二人はちょっと寂しかった。