美咲は、その日から毎日の様に『みんな』に会いにいった。
スマイル*おはよう!
スケスケ*おはようございます
スマイル*あれ?私と、スケスケさんだけですか?
スケスケ*そのようですね
スマイル*なぁんだぁ。まっ。いいけど。
スケスケ*この頃、どうですか?
スマイル*前よりは、いいかもね。
スケスケ*何がですか?
(私の、日常生活の調子!)
美咲は、家でもよく笑う様になった。まだぎこちないとはいえ、微笑むくらいの事はあった。感情を、表に出す様になった。その様子を見て、父母も安心していた。
「美咲、無理しなくてもいいからゆっくり(心の傷)治そうね。」
「そだね。」
いままで、無返答だったのが一言でも返してくれる。それが、親にとって最も嬉しい事だった。
スケスケ*うちのところは、ちょっとね
スケスケ=藍来 淳(あいらい じゅん)という本名で、家庭環境は悪いどころか、両親も警察行きになってしまっているくらいだ。そのせいあって、いじめにあい、そしてここにいるのだ。
(僕だって、笑顔になりたい。)
その気持ちが、頂点に達していた。そして、親戚のおじさんが見つけてくれた唯一のホームページ。それが『チャット イズ スマイル』だった。
スケスケ*両親は、帰ってくるはずがないし、親戚も・・・いつ僕が両親の様になるかビクビクしています。そりゃ、そうですよ。毎日、馬鹿の様にパソコンに向かっているのですから。
スマイル*それは違う!
スケスケ*え?
スマイル*確かに、そんな悪い両親に育てられたから悪くなるかもって思うかもしれない!けど!パソコンに向かってばっかなのだって、まじめにいるのだって、全部理由があるじゃん!!
スケスケ*スマイルさん
スマイル*この思いを、親戚の人たちにぶつけたらいいんだよ。