やっと家につき、「あの箱」を探した。
部屋中ひっくり返し、やっと箱をみつけたが、箱には鍵がかかっていて開かない。
「ちくしょー。」
その箱を思いっきり床に叩きつけ、僕は涙を浮かべしゃがみこんだ。
「ついに困ったときが来たのね?」
「小山内さん?」
おもむろに胸の谷間からネックレスを引き出すと。あの鍵が出てきた。
「この鍵をだらしなくそこら辺においとかないで!」
怒る彼女に「あんたには関係ないだろ。一体なんなんだあんたは」
「私はあなたと同じ。感染者」
「さしずめ私は先輩かしら?」
こわばっていた彼女の顔が少しほころんだ。
「早く開けて、力をかりなさい」
鍵を渡され、私はついに箱を開けた。
中には一枚の紙と一回り小さな箱が入っていた。
紙は僕宛てだった。そして、見慣れた字だった
「あなたの笑顔。最近見せてくれないわね。いつも難しい顔ばかりして、殻に閉じこもるあなた。もっと強く、優しく生きなさい。
母より」
私は涙より先に病院へ走っていた。