過去はもう戻らない ―序章final―

千里亜実  2007-10-09投稿
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待ち合わせ場所に着いた。
竜二達はとっくに荷物置き場を見つけていて、だるそうに座り込んでいた。見張りのあーずもあわせて人数は…1、2、3…!?人数を数えた私はびっくりした。
「千春、メンバーは私と千春とあーずと竜二とぽっつりの5人じゃないのっ?1人多いよ!」
すると千春は
「…あんたどんだけ耳悪いの?ドクタを入れ忘れてるのよ」
そうなんだ…ドクタって、存在感無いから、全然気付かなかった(一応、数には入れてたけど…)。
「おい、自分達の荷物置き場を囲め。ここらへんは全部つかえるからなぁ」
「なによ、偉そうな口きいてんじゃないわよ!」
千春が鼻を鳴らした。
「フン!お前こそ、強引に誘っといて、その口のききかたはないだろ」
…ごもっともごもっとも。
竜二の反論に、心の中で拍手を送りながら、言いつけ通り、円を描き始めた。
「おっ!流石は亜実!行動が早いわ」
あーずがしゃがみこんで感心してる。
「おい、もっとでっかく描けよ」
うるさいなぁ、ぽっつり。私のなんだから、あんたには関係ないでしょ。
円は、あの不気味な"傷"のある、左手の薬指で描いていた。
描き終わった後、嫌な予感がした。
「さ、荷物置いてさっさといこ―」
千春の言葉がとぎれ。
突然、黒い穴が開いた。
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「な、なんなのよ、これ…」
千春が変な声で言った。
私はいたって冷静だった。別に、不気味な感じはしない。なぜか、懐かしさがこみ上げてきた。何故だろ。こんな穴、初めて見るのに…。
気になることは、もう一つあった。何故、私が描いた円が黒い穴になったのか。
「落とし穴かぁ?そんなに深そうじゃねぇし、入ってみるか」
竜二がそういって荷物をつかんだ。
「…まて」
ドクタが、静かに止めた。竜二がうっ、とためらう。理由も何もいってないのに、ドクタの言葉には説得力があった。
でも、結局竜二はカバンをつかんで、穴の中に足を入れた。
「なんだ…坂になってるぞ。」
そのまま穴の中にズズ…と滑りこんだ。
「なんか、すべりだいみたいで楽し…わっ!」
突然、竜二の声が消えた。
「え…?」
あーずが震えた。
ドクタがゆっくりと、静かに言った。
「僕の忠告には、必ず意味があるんだ。それを守らなければ、大変なことになる」
あーずがか細い声で言った。
「竜二は…竜二はどこ?」



続く



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