平将門?
巨大鎧武者が幸司達に気づいた。
獣のような雄叫びをあげながらその巨大な体躯で二人へ迫ってきたのだ。
「邪魔だ!」
邪霊の牙城と化した帝都を二人は疾走し巨大鎧武者へひたすらに立ち向かった。周囲には将門の復活に呼応した帝都中の邪霊達や、かつて封じられた水虎などがその姿を現した。
「羅殺剣!」
羅候の光の刃が大地を走り、道を阻むように現れる邪霊達を斬り飛ばした。
不意に鎧武者の腕が二人に伸びる。
「おらぁ!」
幸司はそれを羅候で受け止める。そして腕の上を道として竜助が疾走した。
「竜助、やれ!」
「はい!」
竜助が飛翔しながらサングラスを剥ぎ取る。その瞳は陰陽の二極に別れたどこか邪悪なものだった。その邪悪な視線が鎧武者の目を捉えると鎧武者の動きが鈍り、そのまま麻痺したように動きが止まった。「先輩、今です!」
幸司は巨大な指を切り落とし竜助のもとへ飛翔した。
そのまま落下する竜助の背中を踏み台がわりにし、一気に鎧武者の頭上まで飛び上がった。
「喰らえ、羅殺剣!」
羅殺剣の光の刃が鎧武者の顔面を一閃する。鎧武者は顔面を抑え倒れこんだ。
「やったか!?」
幸司が大地に降り立ち、再び羅候を構えなおす。竜助も清姫を構え、警戒を解かなかった。
その直後、鋭い怒号とともに鎧武者が立ち上がった。その顔面には羅殺剣でつけられた痕がありありと残っている。
「あの程度じゃ焼け石に水か…かえって怒らせたみたいだ…」
「先輩、もう一回やりましょう」
二人は再び鎧武者へ疾走する。鎧武者は腰に差されていた巨大な日本刀を抜くと振りかぶり大地を叩きつけた。
「うおおお!?」
その衝撃は凄まじい二人を彼方へ吹き飛ばした。
「ちぃ…」
幸司は体勢を立て直し鎧武者を睨みつけた。だがそこには黒衣の蜻蛉の姿が現れれていた。
「可王…師匠…」
可王京介は幸司を見ると刀を抜いた。