第一話
今日も私は、教室のいつもの席に座り、外をボーッと眺めながらいつもと同じ事を考えている。
これから先どぅ生きていくか。
声がでなけりゃ、話せない。なにより歌うことが出来ない。どんなに口を大きく開けても、声は出ない。
もぅ、ヤダよ・・・。こんな生活。
学校に来ても楽しくない。話せないもの。大好きだった音楽の授業だって、演奏くらいしか出来ないもの。
歌えないもの・・・。
こんなことを考えているうちに授業は終了。6時間目が始まろうとしている。
そんな時、彼は来た・・・―――。
「君が、斉藤さん?」
亜美はハッとして、話しかけてきた男の子の方を見る。
「あっ!やっぱりそうだ。頭いいって皆言うから見に来てみた。俺、伊藤梓ってんだ」
机から、教科書を出して、教室を出ようとする亜美。
「あぁっ!ま、まって」
亜美、立ち止まる。
「今日、一緒に帰んない?」
はっ・・・―――?
一緒にって・・・。
「じゃ、放課後玄関とこで待ってるから」
と、言って梓は教室を出て行った。
「勝手に決めないでよ!」って、言いたい。
でも、言えない・・・。
仕方ない・・・
行かなかったら、可哀想だし・・・―――\r
この出会いが、私に生きがいをくれた彼との出会いだった・・・―――。