とある製薬会社から研究中の製品が紛失した。
それは極度の便秘に苦しむ患者を救うために造られたノート型の生理現象調節機だった―\r
その名は【トトノート】
このノートに名前を書かれた人物は全て…
盗んだのは他でもない。
開発に当たった天才科学者だった。
『あ〜あ、こんなもん作ったってしょうがないんだがなあ』
アメリカ合衆国コロラド州デンバーの研究所からこのノートを持ち出したベンジャミン=ノイマン博士は、退屈そうにぼやいた。
画期的な製品ではある。
だが正直思う。
便秘位でこんな大袈裟な物作んなよ、と―\r
いや、待てよ?
博士の頭に、とある悪戯が閃いた。
使い方によっては、案外面白いかもなあ。
だが、博士には野心も欲望もない―\r
―そうだ
誰か赤の他人に預けてみよう。
彼がこのノートを良く使えば世界は少しだけ改善するかも知れない。
仮に悪用しても、たかが下痢をくだすだけだ。
別に命に関わる訳じゃあない―\r
もちろん名前を書かれた側に取っては迷惑千万な話だったが、あいにく博士はそこまでの責任感はなかった。
世界の誰かに託すために、博士は原始的だが実に公平な方法を採用した。
丸めたノートを大きめの瓶に入れて、カリフォルニア湾から流したのだ。
英文の説明書を添えて―\r