君の声が聞きたくて?

ぽず  2007-10-10投稿
閲覧数[303] 良い投票[0] 悪い投票[0]

3年前。春が来た。初めて君に電話が繋がった。でも出てきたのは君ではなく、君のお母さんだった。その人は彼女が入院していると言う。僕は病院を聞き、何も考えずに走りだした。

病室のベッドの上に君はいた。少し驚いていたようだけど、笑顔で言う。
「久し…ぶ…り…だね…」
以前のままの透き通った声だった。でも囁く程度の音量。そう。彼女の喉には肉腫ができていたのだ。

それからは毎日のように病院に行った。彼女の病気は悪化していき、手術を勧められるようになった。手術をしなければ先は長くない。すればもっと長生きできる。ただし声は出なくなると。彼女は悩んでいた。僕は何も言えなかった。

ついに彼女は手術を決め、手術は無事に成功した。

彼女の声は出なくなった。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ぽず 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ