過去はもう戻らない ―第2章 墜ちた先は―

千里亜実  2007-10-11投稿
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「だめだ」
ただ一人、ドクタだけが反論した。
「なんで!これ以外に何の方法があるって言うの?」
千春は自分の考えを押し通す。
「…ここは、圏外なんだ」
「…!?」
千春はびっくりして、自分の携帯を見た(と思う。千春の顔は見えないけど、携帯の光が見えた)。確かに、ここは圏外だった。
でも、私は圏外だったことより、ドクタのことのほうが衝撃的だった。この穴に入る前もそうだったけど、なぜか初めて見たはずのこの穴に、ドクタが妙に詳しいのだ。今の圏外のことも、携帯を全く見ずに言った。しかも、まるで"初めから分かっていた"かのような言い方で。
千春は、変に思わないのかな。声に出してないだけなのかな?
しばらく考えて。
そして、気付いた。
"こんな状況でドクタについて考えられる程冷静なのは私だけ"って―。
ドクタも変だけど、私も変だ。
いったい、私に何が起こったんだろ。
----------------
しばらく落ちていた。
携帯を使うことができないと分かってから、みんな、一言も喋っていない。
「…ぁ…」
千春が小さい声を出した。
「光が…見える!みんな、もうすぐ着くわ!」
確かに、下を見ると光が見える。その光はどんどん広がっていく。
そして、光が私を包み込んだとき。

ぽよぉぉぉぉぉん
身体が跳ね返された。
「…ん…」
見るとそこは。
「街…?」
----------------
「街…?」
あーずが驚きの声を出す。
「なんでこんな所に墜ちちゃったのよ!…ぁ…り、竜二はっ?」
あーずが叫んだ、その瞬間。
ぽよぉぉぉぉぉん
竜二が墜ちた。
「なんだぁ?どうなってんだよ、この地面…んぅ?なんでお前らがいんだぁ?」
「竜二っ」
あーずが抱きついた。竜二の顔が少し赤くなる。
な、なんか、ラブシーンな展開してません?
「お!竜二、お前、生きてたかぁ!よかったよかった」
ぽっつりが変な感心のしかたをする。
あーずがスルリと竜二の身体から離れて、
「それよりさぁ、ここどこ?」
「ん…さぁ?外国か日本かはよく分からないけど、地球っぽいなぁ…とぐらいしか分からない」
自由になった竜二が答える。
千春がはぁぁっと大きなため息をついて、
「あんた、外国か日本かも分かんないの?ダサっ!」
「なんだよ、お前には分かるのかよ」
「じゃ、逆に質問。」
千春の推理が始まった。















続く

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