龍と狼4

武藤 岳  2007-10-11投稿
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「君が犯した罪は一生をかけて償っても、償いきれない位に重大な罪を犯したんだ。その罪の重さから逃げる為だったら、私は到底納得できない。
君の本心を聞きたい。
確かに、日本では、今の君を受け入れてくれる学校はないだろう。
本当に電気工学の勉強がしたいから、アメリカに渡るのか?
ちゃんと、ご遺族の方々への償いの気持ちはあるのか?」

諭すような口調で守山は青年に語りかけた。
守山には、この青年から発する気というか、生気が感じられなかった。
それどころか、逃げると言うよりも、もっと何かとてつもなく、悪い“何か”が生まれるような悪寒を感じていた。

静かな空間の中で、青年はゆっくりと話し始めた。
「僕がした事の罪深さは、わかっています。
アメリカに帰る事が“逃げる”と、とられても、仕方のない事だという事もわかっています。
でも、今のままでは、僕は何もできない。
何もさせてもらえない。
それなら、少しでもチャンスのあるアメリカに行って勉強して、そして、真面目な人間になって日本に帰り、罪を償いたいと思います。」

“真面目・・・!?”
守山は引っかかった。
真面目な人間なのは、最初からわかっている。

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