しかし、倒れてきた二人の男性の両のこめかみが何かに貫き抜かれたように貫通していて、そこから血しぶきが噴きあがると、何事かと集まり出した野次馬達は度肝をぬかれた。
死骸を取り囲み騒然となっている光景眺めながら、対角線上にあるビルの屋上で男が何事もなかったように淡々とライフルを解体してバッグに収めていた。
収納が終わると、男は出口に向かい、階段を急いで降り、下の階のホールでエレベーターが上がって来るのを待った。
仕事が終わり、ほっとした表情のまま、目を閉じた。
『ソンスン、日本人は絶対信じちゃいけないし、あいつらの言う事は聞いちゃいけないよ。
あいつらが昔私達にしてきた事は、それはそれは酷いものだった。
だけど、あいつらは未だにその償いをしようとしないし、もう償ったと開き直るくらいに図々しい。
ソンスン、もし、何かがあっても、北の味方になっても、日本人の味方にはなってはダメだよ。殺せば御先祖様も喜んでくれるが、味方になんかなったら顔向けできないからね。』
祖母の言葉が、また蘇ってきていた。
もう、染み着いてしまった、祖母の言葉。
もっと楽な人生の選択肢がたくさんあったはずなのに・・・