そして夏奈と此処は二階の1―Dの教室で話していた。
「うう…真、蛍ぅ…」
「大丈夫大丈夫。クラス隣だし。休み時間になれば行けるよ」「そうだよね!」
「それでこそ此処よ」
扉を開いて先生が入って来る。皆慌ただしく席に座っていく。
「え〜…私が君達の担任の郡司だ。早速だが出席をとるぞ…」
郡司は結構若そうなのにダラッとしながら出席をとり始めた。
クラスの半分以上が『これから先が不安』という気配を出していた。
だが、それよりもこれからが不安になる材料が近付いて来ていた。
じわじわと…確実に。
出席確認もあと残り少しになり、夏奈は自分の隣がまだ来ていないことに気付いた。
此処は夏奈の一つ前である。
どうしたんだろ…と思ったその時。
嵐が、不安が、変人が、まとめて教室の扉を開いた。
扉を開けて入って来たのは、一人のスポーツバッグを肩から掛けている男だった。
身長は平均男子よりも少し高い程度。体つきはブレザーでよくわからないが、痩せている。
そしてその髪はなんと、銀色の短髪だった。
しかし、一瞬にしてクラス中の人間をフリーズさせたのはそれだけのせいではない。
銀色の髪の下、本来なら顔があるべき場所に、白い下地に龍が登る……仮面があった。
目の所だけ黒く鋭い目つきのように切り抜かれ見えるようになっている。
周りがフリーズしている中、一人だけ物凄い勢いで頭の中に走馬灯が浮かんできている人がいた。
それを脳内で整理し、まずこの事実を飲み込むため
すくっと立ち上がりその時にチャラチャラなるキーホルダーも気にせず
キッとその仮面の男を見据え
「嘘―――――――!!!!」
叫び、驚きをとりあえず表した。