あれから1年経って、また春が来た。今日は君の命日だね。
君は手術を決める少し前に僕に聞いた。
「ねぇ…人はどのくらいの記憶なら覚えていられるのかなぁ?新しい記憶が増えたら古い記憶は忘れちゃうのかなぁ?」
こんな事を聞くなんて一体何を考えているのか、わかりそうでわからない。僕は戸惑いながらもそれを悟られないように言った。
「…人は本当に大切なことは忘れない。忘れられないんだよ。だから大丈夫。」
最後の一言を君に言ったのか自分に言ったのかは正直わからない。でも君がただ頷いて何も聞き返さなかったから、どっちでも良かった。
君は今この世にいないけど、今日はとても君の声が聞きたいんだ。君は一人暮らしだったからもう自宅の電話は片付けられてると思ったけど、あの頃みたいに電話してみた。
電話があったとしても
留守なのを知っていながら