千明がうなだれていると薄暗い道の奥から音が聞こえてきた。
チリンチリン
「何だこの音…?」
千明はゆっくり立ち上がった。
チリンチリン
千明は恐る恐る音がするほうへ歩いた。
そこにはクジで大当たりしたときチリンチリンするあのチリンチリンを持ったおじいちゃんがいた。
千明は確信した。これがあの噂のクジ引き屋だと…!千明は確認のためおじいちゃんに聞いてみた。
「あの…ここクジ引き屋ですよね?」
「……あんだってぇ…??」
どこかで聞いたことのあるセリフだったが千明は気にせずもう一度聞いてみた。
「ここ!クジ引き屋ですよね!?」
「あぁ!?…まぁ…そうじゃ…クジ引き屋じゃ」
おじいちゃんが一瞬キレたのが少し気になったがとりあえずクジを引くことにした。…と思ったが財布を忘れていた…。
だが千明は引くわけにはいかなかった。一か八かかわいそうな子供のふりをしてクジを引かせてもらおう…
「…おじいちゃん…俺…3日前から何も食ってなくて…金なくて…それで…とりあえずクジを引けばどうにかなるんで…」
千明は実は相当なバカだ。今言ったセリフの矛盾にすら気づいていない。
「………えぇよ…!」
おじいちゃんもバカだった。
「ほんとですか!?」
千明は予想外の返答に驚き、それ以上に興奮した。
そしてついにその時がきた…!
千明はあのガラガラするやつをガラガラと回しはじめた…。