バイロードと呼ばれる大陸は神の住まう場所と呼ばれ、大陸の中心には大地母神マザーを祭る大聖堂があり、それを守るのが五王国をまとめるアスレイア国王の役目である。
五王国とはかつて血と魔に満ちた戦乱の時代に大地母神より授かりし聖剣を持ち大陸戦争を終結させた聖剣王イシュトヴァーンとその仲間達が大地の荒廃を防ぐため大陸の五つの聖地にそれぞれ聖堂と城を築き、国を興したとされるもので、アスレイア神王国を中心に北に氷と雪の王国グレイス、西に草原の王国ロマ、東に海上王国ドーラ、南に砂漠の王国イストリアがありそれぞれに全く気候が異なるのはまさに聖地に宿る神の力のゆえであった。
大陸戦争終結より300年。長きにわたる平和の日々はやがて新たなる戦乱の幕開けを人々に予感させた。アスレイアを中心にまとまっていた五王国もやがて己の利益に溺れ、小さな小競り合いは次第に各国の勢力争いへと変わりつつあった。
それと時を同じくしてかつて大陸戦争において最も大陸を混乱に導き、大地を腐敗させ、聖剣王の力により魔界へと封じられた不死王ヴァルダークを復活させるべくアスレイアをのぞく各国で魔の者達が暗躍を始めた。彼らはヴァルダと呼ばれ、暗黒の秘法で魔物を呼び出し、人々を混乱に陥れた。各国はヴァルダ達を掃討することに奔走させられることとなった。そんな中若きアスレイア国王ガルディーンは援軍という名目でグレイスに兵を差し向け、そのまま虚をつきグレイスの首都エヴァに進攻した。若いながらも才気にあふれ公正な王と評判であったガルディーンがまさかそのような挙にでるとは、誰も想像できず、グレイスの堅牢な氷の城も突然の裏切りになすすべなく数日のうちに陥落した。グレイス国王は捕らえられ、アスレイアはグレイスを併呑した。
そして、その併合の後、ガルディーンは、自らを聖剣王の後継者にしてバイロードの正統なる支配者と称し、大陸の統一を掲げ、神聖バイロード帝国初代皇帝と名乗るにいたった。
かくして再びバイロード大陸は戦乱の時代に突入する。暗黒と血の時代の到来に人々は救世主を求めた。多くの者が帝国に反旗を翻し、自らを救世主と名乗ったが、ある者は戦に敗れ、ある者は裏切りにあい、ある者は逃げ出し、その度に帝国の勢力は増していった。
そして、人々が絶望にうちひしがれた時、その少年はアスレイアの小さな村に現れた。彼の名はブレイド=ロアといった。