柳田の無言の台詞は、畠田に伝わった。
「何だよ？先輩？
金に目が眩んだ先輩さんよ。」
柳田は、それ以上は反抗的な表情にはならなかった。
素直に説明を求めた。
「すみませんでした。
どうか、もう一度、ご説明をお願いします。」
畠田は、少し優越感に浸った感じになった。
「まったく、よろしく頼みますよ、柳田“君”。
いいか、あんたは、もう干された人間なんだよ。
拾ってやった私にもっと、忠節を尽くしてもらわないと困るんだよ。
わかるよな？」
完全に勝ち誇った表情で畠田は続けた。
「昨日の新聞やテレビですっぱ抜かれたが、見たか？“韓国の仮想敵国化”の報道を。」
「ええ。」
柳田は昨日読んだ新聞の微かな記憶を振り絞っていた。
「あれは、報道では“示唆”になっているが、本当のところは、もう決定事項なんだよ。
先方さんだって長年、何度もアメリカに、日本の仮想敵国の認定を出しては蹴られているんだ。
だから、いつそうなっても不思議ではない。
だから本当は世に公表される前までに、先に手を打って、NIS（韓国国家情報院）の連中が本気になって入り込む前までに、ガードを張っておきたかったんだ！」
徐々に畠田は興奮してきた。
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