目が覚めるとすでに時計は10時をまわり、サトルは起きていた。
窓際で煙草をくわえながら、新聞を読んでいる姿はとても賢く見える。
事実、サトルはインテリだ。
どこかの国立大をでているらしい。それなのに、今はこんなバイト暮らし。
一度わけを聞いたことがある。
うまくごまかされた。聞かれたくないコトだと感じたから、それ以来聞いていない。あたしは彼女じゃない。だから、このボーダーラインをしっかり見極めないとお互いにうまくいかない。
「…いつまで寝ている気?」
ベッドでゴロゴロしているあたしを見てサトルは言った。
「んーっ…。このままずーっと。」
サトルは、はいはい。って感じで、また新聞を読みはじめた。
こんな風に素っ気ないやつだから、付き合ってもいない女と同棲できるのだとあたしは勝手に分析している。
寝過ぎてだるくなった頭を冷たい水で洗った。とても爽やかで、心まで引き締まる。
外の景色は慌ただしく動いている。気づけばもう昼食前。
雲一つない空を見て、久しぶりに学校へ行こうと決めた。