省内に、緊急を告げるアナウンスが入り、一人の職員が慌てて、部局に駆け込んで来て、衝撃的な事実を叫んだ。
「やられた!
テロだ!
アメリカで、大規模テロが発生した!!」
一瞬、ブースが硬直した。
慌ててテレビのスイッチをつける者、外務省に緊急連絡を告げる者・・・。
畠田も部局内に飛び込んで来た。
「やられた!
サンフランシスコだっ!
サンフランシスコスタジアムが爆破された。
野球観戦中のマッコール・カリフォルニア州知事がやられた!」
次は部局内がどよめいた。
マッコール・カリフォルニア州知事と言えば、アメリカ大統領を何人も輩出しているアメリカの名門中の名家マッコール一族の直系である。
息子のジェフ・マッコールは、次期大統領選の筆頭有力候補である。
各テレビ局が、アメリカで起きた惨劇を生々しく報じていた。
もうスタジアムとは呼べない、廃虚と化したスタジアムに、業火と黒煙が立ち込めている。
アメリカ政府は、すぐに非常事態宣言を出し、米軍、州軍を動員し、スタジアム近辺を緊急封鎖したと、ニュースが伝えた。
「アメリカは、日韓の事など二の次になるぞ」
畠田が唸るように言った。
柳田の体に戦慄が走った。