ヤス#173

チャーリー  2007-10-18投稿
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ヤス#173
「見えました…ヤス…私の過去が…はっきりと見えました」
「時が来たようじゃ…ヤス…あの岩に母様と登れ」
「あの岩だな…」
「うむ…」
「母さん…いくよ」
「はい…ヤス…行きましょう」
「大丈夫だ。心配ないよ…俺がついている」
「心配などしていません。ヤス…あなたは私の全て…そして、私の命はあなたのものです…さあ、参りましょう」

ヤスは純子の手を引くと岩の上に登った。岩にぶつかったうねりがしぶきを上げている。俄かに雲が湧きだすと光が走った。幾筋ものイナズマが横へ走る。潮目に大きな渦が巻いた。

赤い龍が現れた。

「おおっ!あれが龍神!」
「あぁ!玉が…ツブテが輝いています!」

赤い龍はゆっくりと近づいて来た。サトリが目を閉じた。
(ヤス…許せ…定めじゃ…許せ)

突然、赤い龍の体がしなった。大波が二人を襲う。ヤスは純子を抱きしめた。瞬間。赤い龍は二人を飲み込むと大しぶきを上げて海に沈んでいった。

「な、なんだぁ!サトリ!龍が…龍神が二人を喰らったぞ!一体どういう事だ!」
「落ち着け!泰治」
「落ち着いていられるか!…どういう事だ」
「そうです…一体…どういう事でございますか?」

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