case‐涼
東京、深夜の公園
「!」
城崎涼は、背後の暗がりから襲いかかってきた男に、口元を押さえられた。
喉にヒンヤリと鋼の感触が加わる。
「ウヘヘヘ、おとなしくしてりゃ命までは取らねぇよ」
涼は動じる様子もなく、喉に押し当てられたナイフを指でつまみ、パキッと枯れ枝のようにアッサリへし折った。
その後で、口を押さえ付けていた手をひっぺがす。
男は戸惑っている気配だった。
「人間の女狙いなよ」
「え?」
次の瞬間、ゴオッと旋風が巻き起こりビリッと衣の裂ける音と、重く鋭い打撃音が交錯する。
「あ〜あ、このタイトスカート買ったばかりなのにぃ……
弁償してよ!‥と言いたいとこだけど、そのザマじゃ無理か」
城崎涼の回し蹴りをまともに食らったレイプ男は、首から上が消し飛び、絶命していた。
ニッ、と笑う涼の唇の間から、鋭利な牙が顔をのぞかせる。