さらに追放といってもどこへ追放すればよいのか…。
そんな中、考え出されたのが、“能力者特区政策”だった。
これは能力者を一つの都市に集中して住まわせ、一般人から遠ざけよう、というものだ。
日本政府は世界にさきがけ実験的に、九州・熊本県熊本市を特区に指定。
同県内の能力者を集めて住まわせた。
この実験は大成功を納めた。
県内の能力者犯罪の発生率は激減し、また特区内でも能力者による警察活動などにより治安の維持がなされた。
この結果をうけ、政府は増加する能力者人口に対応するため、九州全土を特区として指定。
世界中で同様の政策がとられた。
私は1年前にここにきた。
一応、特区に入るのは“個人の自由”となっているが、例外として犯罪歴のあるもの、能力によって周囲とトラブルを起こしたものなどは半強制的にここへ送られる。
私の場合は後者だ。
いろいろあって…私と水葉はここへ来ることになり、ウチの場合は両親と共に、水葉は家庭の事情てひとりで来ることになった。
(もう1年たつんだな…。)
あの時、最悪な気分でここにやってきたのに、もはやすっかり慣れ、馴染んでしまっている。