春の光が体に降り注ぐ。 母はベッドサイドで、絵を描いていた。私は京都講演から帰って来た父とチェスをしている。 「…父さん、私、もう一度頑張ってみるよ…」 父は不思議そうな顔して、駒を進める手を止めた。 「京、無理しなくてもいいのよ。お医者サマだって、時間がかかってもしかたないと―」 母さんは鉛筆を静かに動かしながら、優しく言った。母は―美しく強い人だ。そして、この時はまだ過去の影を引きずっていた。それがまた美しさに拍車をかけていた。
新着小説100作品 恋愛ミステリSFファンタジーホラーエッセイ日記ノンジャンル公募投稿作品アドベンチャー詩・短歌・俳句スポーツコメディ学園物その他管理人用