私はどんどん好きになっていった。
しかし、好きになればなるほど都合のイイ女という事実を思い知らされた。
ある日会社帰りに買い物をしていたら、彼から電話が掛かって来て、家の近く迄来てるから会えないかな?との事。
なかなか会えないから嬉しくて、すぐ家に戻った。
もうすぐで家に着くという時にまた電話があり、やっぱり今日は会えない、と言われた。
虚しさに襲われた。
翌日、会社のメールに、昨日は会いたかったけど、電話が繋がらない時間に奥さんが不信感を抱いてヤバくなったから会えなかった、とあった。
そのメールを見てびっくりした。
彼が私と電話で五分も話していないのに、その間繋がらなかったくらいで怪しむなんて。
友達と電話をする事もあるだろうに。
きっと奥さんにとって、電話の相手が誰だろうと自分が掛けた時に繋がらないと怪しむと思う。
それほどまでに束縛したいのだと思った。
不倫なんかしてもいい事なんてないし、どうにもならないと分かっていても、諦められなくて、そのうち独占欲が出てきた。
けれど、毎日会社で顔を合わすのに、電話も携帯のメールも出来ず、月に一度くらいしか会えないのは、辛かった。
精神的に辛い毎日で、うつ病になりかけた。
そのうち、以前から転職したいと思っていたので、会社を辞めれば顔を見なくて済むし諦められると考えた。
今の状況を抜け出して一から生きていこう、と会社を辞める決意をした。
入社五年目の事だった。
彼と最後のデートをして、諦めると話しをした。
彼は私がそう決めたなら、と受け入れた。
私は最後だからと、何で結婚してるのに手を出したの?と怒って聞いた。
すると、可愛いかったから、と答えただけだった。
やっぱり私は都合のイイ女だったんだと思った。
それでもまだ好きだったし、諦める事も辛かった。
新しい仕事も決まり、心機一転頑張るつもりだった。
しかし、やっぱり諦めきれなくて、都合のイイ女でもいいと思いメールした。
また、新しい仕事も辛かったので、甘えたかったのかも知れない。
そして彼とまた会うようになった。
仕事終わりの夜に、今から行っていい?と電話をして来た。突然来ることもあった。
そんな具合に月に一度くらい会った。
以前は約束して食事に出掛けたけど、私の家に来るだけのデートになった。