過ぎ去る風は涼しく、私の頬を撫でて舞う。
舞い散る枯れ葉に何処か寂しいものを感じるが、秋風がその感情ごと吹き飛ばす。
「流石に冷えるね」
秋だもん。
「厚着、するべきだったね」
私もそう思う。
「ねね、流星群来るの何時だったか教えてくれない?」
……40分くらい後だって。
「コンビニ行かない?流石に寒いよ、コーヒーでも飲もう」
君の奢りで。
「ちぇー、なんだよそれー」
買ってきたコーヒーを手の中で転がす。暖かい。
「今度からはカイロ持ってこよう」
コーヒー代もね。
「うぐっ……ま、まぁいいさ。ポットに淹れて持ってくるから」
さて、流星群が来るまであと30分くらいあるね。どうしよ?
「んー、一応このまま待ってみようよ。予定より早く来るかも!」
じゃ、そうしますか。
他にする事もないのでコーヒー缶を転がして暖かさを確かめる。
しかしいきなり呼び出して流星群見よう、とはね。
「まーまーいいじゃんよ。どうせする事もないっしょ?」
くっ……私の青春は色恋以外にこそあるのよ。
「はいはい」
流すなぁ!
「あ、あれ!見てみなよ!」
何?流星群?
指さされた先には星が1つ輝いていた。
なんだ、流星群じゃないじゃん。
「一番星だよ。綺麗じゃん」
確かに。
緋色の雲、群青の空の彼方に輝く星は確かに美しかった。
隣にある笑顔もまた、それに劣らぬ美しさである事に気付いた私は幸せだ。
「何か風強くなったね。手、繋ご?」
はい。
繋いだ手はとても暖かく、気持ちよかった。