ヤス#175
【影の軍団と黒い龍・ブラックドラゴン】
戦いは静かに始まった。
影が其処かしこで蠢いている。
影は道行く人々を攫っていった。誰も気づかない。に日に日に行方不明者が増えていく。それは次第に顕著化し、人々は某共産国の拉致工作だと騒ぎだした。日本と隣国の国交が険悪なものになっていった。
濡れ衣を着せられた隣国は怒りを露にした。核兵器を保有したいる事を公式に発表し、日本を脅してきた。
首相が異例の声明を出した。戒厳令だ。自衛隊が物々しく出動した。夜の外出が禁じられた。夜の街から人が消えた。野良し悪良化した犬達がゴミ箱を漁っている。影はそんな犬達も攫っていった。
首相官邸ではこの不可解な、しかも、明らかな危機にどう対処すべきかが議論されていた。
防衛省大臣は額の汗をふきながら首相の意見を仰いでいた。