「リ〜ンリン…」
疲れて帰った僕の姿を見て
「おかえり」
と出迎えてくれたかのように鳴き声のキーが少し高くなる
「今日も暑かったろう?ご苦労様」
そう伝えながら霧吹きで水分を与える
「お腹減ったろう?」
空っぽのえさ皿を見つけて大好きなナスビを与える
いちもくさにかけ寄ってくるかわいいこどもたちをずっと眺めていると癒される
「今日も君たちの魔力に動きを封じられたね…」
そうささやき
「じゃ…僕もご飯食べてくるね」
と伝え…一時の別れを告げる
僕がテレビの音量をあげても
部屋の掃除をしていても
僕が失恋して大泣きしたとしても
けっして君たちの音色は輝きを失わない
1年中癒してもらうことは出来ないけど
来年の春に新しい命が誕生するのを誰よりも待ち望んでいる