デリート 4・死の天使

朝倉令  2006-03-19投稿
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 case‐ヒカル


黄昏どき、河川敷

「お嬢ちゃん、ずいぶん沢山の猫たちとお友達なんだね」


初老の男が腰をかがめ、野良猫達と無邪気にたわむれる娘、日浦ヒカルに笑顔を見せた。

 男の左右には、一見してそれと分かるボディガードが控えている。

 少し離れた場所に、完全防弾処理の施されたリムジンが停まっている。

 男は、子供や動物が好きな様子だった。


「おじちゃん、鬼塚源三郎さんだよね?」

「あれ?何でおじちゃんの名前を知ってるんだい?」

言い終えた鬼塚の首が、訝しげな表情のまま、ゴロンと転がり落ちていく。

 時を置かず、左右を固めていたボディガード達の首から吹き出した血潮が、川原の砂利を黒っぽく染めていく。


「この瞬間を待ってたんだよね」

瞬く間に三名の命を奪った日浦ヒカルは、両手に持っていたカランビット(東南アジアの武器)をケースに収めた後、琥珀色の瞳を薄闇にきらめかせていた。





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