傷薬

斉藤 はるか  2007-10-22投稿
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『まじきもいんだけど!』
そんな罵声が飛びかったのは中学一年の時だった。
‐2000年4月‐
『おはよぉ?めっちゃ授業ダリィんだけど?』
話かけて来たのは同じクラスの高梨なな、初めての友達だった。
『そうだよねぇダルいよねぇ?』
私の名前は西田みな、ななとは性格が正反対だった。ななは先輩の事など気にせず、チャラチャラした子で、よく先輩から目をつけられていた。『てかさぁ、みなちょっと落ち着きすぎなんだよ、もっと派手になったら?』
『無理無理!先輩怖いし?』
『みなはヘタレだねぇ』笑いながらこっちを見た。
『ひどい何それぇ!』笑いながらななの肩をどんと叩いた。
入ったばかりの中学生活は楽しかった。
‐5月‐
あれから一ヵ月、友達も増えた。部活はテニス部。
『まじ寒くない?』テニスコートでゆずきが言った。
『わかる!早く帰りたい?』
体を丸めながら答えた。
ゆずきはテニス部で友達になった子。あたしと同じような臆病な性格だった。
『ねぇ、あの人最近見に来るよね〜』ゆずきがコートの外をジッと見た。『どれ?』私はその目線の先をチラッと見た。
そこにいたのは一つ上の先輩だった。背が高くて結構学校では有名な先輩。名前は知らない。
『ちょっと怖いよね?あんまり部活に集中できないよ?』私は嫌な顔をした。
『彼女が居るから見に来てんじゃない?』ゆずきも嫌な顔をした。
『ちょっとそこ!話してないで体動かせ!』先生が腕を組ながら歩いて来た。
『す、すいません!』私たちは焦ってコートに戻った。
「なんで先輩最近コートに来るんだろう?もう集中出来ないよ?」
そんな事を思いながらボールを打った。
『スパンッ!』
『あっ!』
ボウルが先輩の横に飛んで行った。
「もう?なんでこんな時にそっち行くのよ?」
わたしはパニクりながらボールを取りに行った。
先輩の顔をチラッと見る。先輩は眉間にシワを寄せていた。
「こっわぁ?」私はそそくさとその場を立ち去った。 『大丈夫?』ゆすぎが心配そうな顔をしている。
『大丈夫ぢゃないよ?殺されるかと思った?』私は青ざめた顔でゆずきを見た。
『よかったね怒られなくて、あの人すぐ切れるんだって?』
『まじ!?関わらない様にしようね?平和でいこう?』
動転していた私は意味不明な会話をし続けた。



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