大人達を撒くには十分だったその道を無我夢中で走り、人気のない村の外れへ抜ける。そこで、独りの人影を見つけた。
『…エ…リカ』
『シエル…』
傷だらけの銀髪の少女"シエル"とは対象的に、"エリカ"は高貴な衣に身を包んでいる。
『…エリカ…アタシ――っ』
『シエル…ごめんなさい』視線をそらされた。
『ッ――エリカ…エリカまで……っなんでよ!?ッ天命なんて――アタシは……魔女になんかならない!ッ世界を壊そうなんて、思って無いのにッ!!』
『いたぞー!アイツ巫女様に近付いて何をする気だ!?』
『巫女様に近付くなぁーー!!』
遠くから叫ぶ声が聞こえる。
『……テ…ル』
『え?』
『……シテ…ルッ!』
『シエル…?』
『…アタシを追い出したオマエら全部!!コロシテヤルーーーッッ!!!』
『シエル!?ッッ待って!やめてシエルーー!!ッッ』
――‐―‐
少女達が、生まれて14年の時を迎え、天命が下った日から更に2年の時を経た現在、天には巫女、地には魔女が在する世界状況となった。そして人々は、地上を捨て天…即ち"空"へ移ることを余儀なくされる。
天には巫女と人が、地には魔女とその同志のみぞ生きていた――