もう生きることに疲れた。
こんな辛いだけの世界なら、消えてしまったほうが楽だ。
そんな思いの中、僕は踏切の前に立っていた。
そこへ、この間の女性が偶然通り掛かった。
そしてまた僕を見て彼女は言った。
「何?死ぬの?…ならさっさと死ねば?」
この間は何も言い返せなかったのに、今回は考える間もなく言い返していた。
「なんだよ!何なんだよお前!何でそんな酷いこと言うんだよ!この間だって!何様のつもりだよ!お前に俺の何がわかるんだよ!何も知らないくせに!人がどんな思いで…」
「うるさい!!あんたのことなんて知らない!知りたくもない!今から死のうとしてるやつなんてどうでもいい!あぁ〜ムカツク!死にたいならさっさと死ねバカ!」
彼女は泣き出していた。
彼女が急に泣き出したせいで僕は我を取り戻した…が、僕は意味がわからなかった。
「は?え?…どうした?なんでお前が泣いてるんだ?訳わかんねぇ〜よ。お前も何かあったのか?」
「なんであんたに同情されなきゃなんないのよ!今から死のうとしてる奴なんかに!何で…何で…あんたなんかに……」
…気が付くと僕はその女性を抱きしめていた。
全く、自分でも訳がわからない。
自分の行動もその女性が泣いてる理由も。
ただその時は自分にもまだ我を忘れてキレる気力なんてあったんだなぁ〜と、そんなことを考えていた。