第二話
―放課後―\r
はぁ・・・―――。
どうしよう・・・。
ちゃんと行かないとダメかなぁ・・・?
悪い人じゃなさそうだし・・・
でもなぁ・・・―――\r
亜美、玄関に着く。
「あっ!斉藤さんだ」
「!」
2人とも歩き出す。
「斉藤さん、テストどうだった?」
「・・・」
亜美達の学校では昨日中間テストだった。
『全然ダメだった』
カバンからノートを取り出して書き、梓に見せる。
「ふ〜ん。斉藤さん頭いいのにね」
しばらく沈黙。
「気になってたんだけどさ・・・」
「?」
「なんでさっきから、話さないの?」
知らない人も・・・いるんだ・・・。
声が出ないことを話したら
この人は、どうするのかな?
私には前まで友達がいた。
その友達に声が出ないことを話した・・・。そしたら・・・。そしたら、次の日から私とは距離を置くようになって、最後にはもぅ、話さなくなった。
だから、声が出ないことを打ち明けたら、この人も私と距離を置くのか。と、考えただけで・・・自分が嫌になる。
でも、話さない限り、何も分からないよね?
『声が出ないの』
ノートに書いてみせる。梓は凄く驚いている。
『嘘みたいだけど、本当だよ』
「声が出ないの?」
亜美、コクンとうなずく。
「そっか!よかった〜」
はっ・・・―――?
「てっきり、無視されてんのかと思ったよ」
亜美、ハッとしてノートに書く。
『怖くないの?私から距離を置かないの?』
「怖い?距離を置く?んなわけねぇじゃん」
ホッとした様子の亜美。
「でも、いいーよなぁ・・・」
「?」
「教科書読まされないじゃん!」
『そこは助かる』
ノートを見せる。
「ハハハッ!」
梓が笑い出す。亜美も声は出さずに笑ってる。
「じゃ、俺んちこっちだから」
亜美、うなずく。
「じゃーな〜ぁ!」
手を振る亜美。
何だろう・・・あの人・・・。
今までの人と違う・・・。
こんな私でもちゃんと理解してくれる。
でも、明日から他人だよ。他人。
さっきは、あぁ言ってたけど
距離置くんだろうな・・・―――\r