過去はもう戻らない ―第6章 護衛士!!―

千里亜実  2007-10-24投稿
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「あ、亜実!大丈夫?」
あーずが手を差し伸べてくれた。
「ありがと…なんか、ここへきてから調子が悪いというか…」
私は立ち上がって椅子(というより、ソファ)に座った。
「しかも、ここにきてから随分経ったし、疲れたちゃった」
「そうそう」
千春が頷く。
「なんだか展開が早すぎて、頭がごちゃごちゃ…少し、みんなで整理してみましょ」
その言葉で、みんな千春のそばに集まる。
「えっと…まず、私がみんなを誘ったのよね。そしたら、きちんと全員来た…っと」
紙にメモする千春。
ちょっと待て!私は自分から来たんじゃなくて、半強制的に連れてこられたんだ!
そんな私の心の声が千春に届くわけもない。千春はそのまま続ける。
「で、奥地の森に着いて、荷物置き場の円をかく―」
そこで千春は私を指して、
「すると、亜実のかいた円が黒い穴に変わって、しかも竜二がその中へ入ってしまった…」
千春の声がじれったい。
はいはい、円をかいたのは私ですよ!
「竜二を追って穴に入る…っと、中は空洞。しばらくして墜ちた先はヘンな街だった」
淡々と語る千春。しかも手で紙にメモしている。
やっぱ、千春ってすごい。天才!
「墜ちた場所であれこれ話し、歩いていたら、ヘンな男に襲われる…さらにヘンな女まで出てきて、絶対絶命!―な時に、あの美少女が来たわけよね」
そこで千春は手をとめて、
「まず、あの美少女はラニ。ヘンな女はマージ。で、ヘンな男の名は不明。ここまでの中で、誰か意見はある?」
誰も、なにも言わない。
「―無いみたいね。それじゃ、次。ヘンな男は、昼間なのに<こんな時間>と言った。しかも、マージは私達のことを野次と言って、<異国の匂いがする>とも言った。つまり、ここは日本ではなくて、外国であることが分かる。そして、この世界では、<野次>という言葉は"異国の者"の意味があるみたいね。そのあとのマージの言動を考えると、子供たちを取り締まるのがあいつらの仕事ね。それに対してラニは子供たちを守る仕事ねぇ…ややこしいわぁ」
千春が頭を抱える。
「もとといえば、竜二が穴に入らなかったらよかったんだ!」
ぽっつりが叫ぶ。
「なんだよ!もとは、千里が穴をかかやきゃよかったんだ!」
竜二の声に私は抗議する。
「な、なによ!もとは、千春が誘わなきゃ…」
「もう止めて!」
あーずが叫んだ。
「ケンカしたってしょうがないよ!」


続く

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