龍と狼31

武藤 岳  2007-10-25投稿
閲覧数[365] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「もう、人殺しの仕事は辞めて。この間のホシノの会長を殺したんも、その前に在日の娘レイプした自衛隊の奴を殺したんも、ソンなんやろ?」


「ああ。」

素っ気のない返事をすると、ソルミは悲し気な口調でソンスンに言った。


「お兄ちゃんのやってる夜の仕事はまだ理解できるけど、やっぱり、人を殺してお金もらうのは、あかんと思うねん。」

“お兄ちゃんの夜の仕事”・・


ソルミはその言葉しか、兄・ウンジュから教えられていない。

ウンジュは、ソンスンと同期の韓国海軍海兵隊出身で、除隊後に両親の住む大阪に戻り、家業を継いだ。

しかし、彼自身の独特の個性と、独自に構築したネットワークを生かし、NIS(韓国国家情報院)のイリーガル(非正規諜報員)としての活動を引き受けていた。


「俺は・・・。」

ソンスンの言葉をソルミが手をかざして遮った。

「どんな理由があっても、やっぱり人殺しはあかん!結局やってる事は、テロの連中と一緒やん!」

ソルミは少し涙目になりながら、テレビに映し出されたサンフランシスコの惨劇の現場を指差して言った。


韓国人を大量に殺戮し、イデオロギーも不明なテロリストと一緒にされては困る・・・

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 武藤 岳 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ