「ソン!おるか?」
下からウンジュの声が聞こえた。
ソンスンもソルミも慌てTシャツを被り、ロフト状の二階から下を覗いた。
「おう、ソン!」
明るい表情のウンジュだったが、ソルミの顔も見えたので、ウンジュは少し慌てた。
「うわっ!昼間から何をやっとんねん!何を!」
ソルミがすかさず反撃した。
「何を想像しとんねん!変態っ!」
ウンジュは可愛い妹の突っ込みに笑い返しながら、手招きをした。
ソンスンとソルミの二人は下へ降り、テーブルでウンジュと向き合ってコーヒーを飲んだ。
「ソン、昨日のテロが起こってから、この辺をウロチョロしていた、公安とか警察がパッタリおらんようになったわ。」
屈強な体格で、黄色の布地に、黒色の草書体で“天下無双”と書かれたTシャツを着たウンジュが話し始めた。
「ソン、この間、棟方のボケがしょうもない事、言うてたやろ?うちを敵国扱いするっていう話が新聞に出てたやんけ。
あれから急にこの辺に、公安の連中が増えたんやけど、それが、みんなおらへんわ。」
「どういう事?」
ソルミが身を乗り出して聞いてきた。
「マークする連中が俺等以外に大勢できたっちゅう事やろな。」