「おい、ちょっと待て!」
振り向き様にソンスンは呼び止めた。
しかし、白人の男達は全く止まる素振りも見せないまま、小走りに去って行く。
「おい!待て!」
ソンスンは後を追いかけた。
ウンジュもその様子に気付き、ソンスンの後を追った。
男達は小さな公園がある道路脇に止めてある白いワンボックスに乗り込もうとしていた。
「おいっ!」
ソンスンが叫んだ瞬間、男達のうちの一人が尻のポケットに手をやった。
その動作を見た瞬間、ソンスンとウンジュは、相手が拳銃を抜く事を見抜き、とっさに伏せた。
プシュッ
乾いた小さな銃声が聞こえた。
「サイレンサーやんけ!」
ウンジュが背後で怒鳴った。
ウンジュの声の方が大きい。
だがソンスンは小さく体を丸めながらも、野獸の如く勢いで相手との間を詰めると、電光石火にミドルの蹴りを、相手の脇腹に打ち込んだ。
相手が悶絶する間に、左から襲い掛かってきた男にもミドルの蹴りを打ち込んだが、相手に肘でブロックされた。
すかさず相手の左足からのハイキックが、ソンスンの右のこめかみをめがけて放たれたが、それをかわして、しゃがみ込みながら左足で、相手の軸足を刈った。