俺は佐藤悠真。高校一年生。
実は、俺には気になる娘がいる。
那賀間葵。俺より背が少し高い、すごい美人だ。入学式の時に一目惚れをして、今日まで彼女を眺めているわけだ。
しかし、入学式の時の俺には、彼女がいた。
若林美帆。葵とは正反対の、カワイイ系の女の子。
俺は、いくら一目惚れしたとはいえ、美帆を切り捨てる決心がなかった。だって、美帆もカワイイ。
でも、
「あ…のさ…俺…好きな娘ができちゃ…ったんだ…」
中途半端な気持ちで付き合うことが嫌だと感じた俺は、結局、美帆と別れることにした。
話している間中、美帆はずーっとうつむいていた。
かわいそうだと思った俺は、
「せめて…次の恋に繋がって欲しい…」
そう言って、美帆にキスをした。しかし美帆は、
「…っ…ん…ぁ…」
呻き声をあげて、俺を突き飛ばすと、美帆は走って逃げた。
「…」
俺は声も出ずに居すくまってしまった。
「悪いことをした…」
こうして、俺と美帆の恋は終わった。
それから毎日、美帆の親友である、葵を眺めている。実は、葵の席は俺の隣。
とっても嬉しい。
☆★☆★☆★☆★
先生が転校生を迎えに行っている間。
私は美帆のことを考えていた。
そういえば、美帆って佐藤くんと付き合ってたんだっけ。
私は隣の佐藤くんをチラッと見た。佐藤くんは、美帆と口をきかない。美帆も同じ。
私は佐藤くんに話しかけた。
「ねぇ、佐藤くん!」
佐藤くんは何か考えていたらしい。
「……あ!あ!何か!」
…びっくりしすぎ。
「単刀直入に訊く。佐藤くんって、美帆と付き合ってたんよね?」
「まぁ…な…それがどうしたんだ?」
「なんで別れたん?」
「え?…そ、それは…俺が一目惚れしたから…」
「誰に?」
「…そんなこと、那賀間に言えるわけないだろ!」
まぁ…そりゃそうだ。
私は立ち上がって、ビシッと一言。
「…恋愛経験のない私が言うのもなんやけど、自分から告っといて、<一目惚れしたから別れて>って言うのはどうかと思うな。なんてゆうか…自分勝手やない?」
ふー。
スッキリ。これで佐藤くんも反省したかな…と思ったら。
「そうなんだ」
「え?」
「那賀間から見た俺って、そんなんなんだ」
な―。
何言ってんの―コイツ!
「…わりぃ、俺って、ヤな奴だな」
続く