「くっ…!」
少女を交そうとハンドルを切るも、無理な操作にタイヤがスリップし、バランスを崩す。
とっさに足をついて転倒を防ぎ、足でさらに減速を試みる。
が、少女はもう目の前だ。(ダメっ!ぶつかるっ!!)
真紅は少女が怪我をしない事を祈りながら、衝撃に備えギュッと目を閉じた。
ようやく希望の光が見えた鳥花は、はやる気持ちを抑え切れず、通りの向こうへと一歩踏み出した。
と、突然背後から『キーッ』っというブレーキ音が響いた。
慌てて振り返ると、目の前に二人の少女が乗った自転車が迫っていた。
(っ…!しまったっ!)
避けようとするが、安心で緩み、驚きで固まった体は思うように動いてくれない。
鳥花に出来たのは、なんとか防御の体勢をとり、止まってくれるのを祈るだけだった。
(くっ!ダメか!)
鳥花は衝撃に備えギュッと目を閉じた。
…衝撃はこなかった。
ブレーキ音もやんでいる。
ゆっくり目を開けると、自転車は鳥花の数?手前で停まっていた。
「ふぅ〜…」
思わず鳥花はその場にヘタリこんだ。
「はぁ〜…」
自転車の少女も安堵の溜め息をつく。
と、少女がガバッと顔をあげ、慌てた様子で声をかけてきた。