マザーズブレイド 第一章 大地の聖剣士?

モー  2007-10-25投稿
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マザーズブレイド。その刀身は清流の如く澄み透り、その一振りは竜の鱗をも両断する。その輝きは神の威厳を示し、その剣持つものは神と人との仲立ちとなり、大地の御子と呼ばれるものなり。
大地の御子でないものがその剣を奮えば、たちまち刀身は鉛色に変わり、大岩の如くき重さとなれば、なにものもそれを奮うことあたわざるなり。

それはかつて聖剣王が大地母神より授かり、大地を守ったという聖剣マザーズブレイドの伝説を謡った歌である。

今村長の目の前にまさにその伝説の剣がある。もちろん実物をみたことがあるわけではない。だが、目の前のそれはまさしく神に授かりし剣としか形容できないほど美しく、そしてまた鋭い剣勢を放っていた。

少年、ブレイド=ロアは剣を振り放ったその返す剣で目の前の敵を切り捨てた。男は馬上からもんどおりうって倒れ、馬は制御を放れてどこかへ逃げていった。自分の体よりはるかに大きなその剣をまるで小枝を奮うように扱うブレイドの姿を村長は呆然と見つめていた。

だが、それとは対称的なのは討伐隊の兵士達だった。まさか自分達に反抗するものがおり、なおかつ自分達の隊長を殺害するなど許されることではなかった。男達は一斉にブレイドの方へ向き直った。
部隊全体は300人だが、実際小さな村を襲うのに必要なのは武装兵30人もいれば十分であった。あとの部隊は略奪の痕跡を消すために合流することになっていた。今ブレイドが対峙するのは29人の武装兵。少年一人対武装兵29人。負けるはずはないと誰もが思っていた。
しかし、少年と対峙した瞬間戦況は一変した。聖剣の威光に人間よりも馬がまず恐れを抱いた。馬達は狂ったように馬上の主を振り回し、辺りの歩兵は暴れ回る馬をよけるのに精一杯だった。ようやく逃げ切ったと思ったその時目の前でブレイドが無表情に剣を奮う。
気がついたときには村長の目の前に数頭の馬と29人の死体と最後の一人に留めをさそうとするブレイドの姿があった。

「助けてくれ。この村からは手を引く。それでいいだろう。おれにも家族がいるんだ。俺を待ってる妻も子供も。」

ブレイドが剣を構えるその手にわずかな隙ができたのを見て取って、男は逃げ出した。だが、その男の首に一筋の矢が突き刺さり、男は絶命した。ブレイドではない、その矢の軌跡の先にには帝国士官用の鎧を身につけた赤髪の偉丈夫が立っていた。

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