龍と狼38

武藤 岳  2007-10-26投稿
閲覧数[336] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「まだ、他に仲間がいたんだな」

ソンスンは周囲を見回しながら、ソルミを抱き寄せた。

「まだ、おるん?」

ソルミもソンスンと一緒になって、薄暗くなりかけている夕闇の、人気のない住宅街を睨みつけた。

「死体の処理をしたんだ。ちゃんと、実行犯の他に、サポートのメンバーがいたんだ。
用意周到だな。」

ソンスンは見えざる敵に不信感を与えない為に、ソルミと共に、ゆっくり歩き出した。

「尾行られてんの?」

ソルミも警戒心のレベルを一段階上げた。

「ソルミ、持ってきたか?」

ソンスンが手でピストルのジェスチャーをすると、ソルミは頷いた。

「人気のない所はまずい。あっちへ行こう」
ソンスンがソルミをリードして、警察車両や消防車が入り乱れている、表通りの方へ歩き出した。

一つ目の辻に差し掛かった時、ソンスンは同じスナイパーだからこそ共有する、独特のテレパシーのような物を背後から感じた。


『ロックされた!!』

感じた瞬間、ソルミをすぐ近くに停めてあったパトカーの脇に突き飛ばし、自分も反対側の民家の垣根に埋もれるように隠れた。


ビシッ!!


パトカーのリアガラスが、銃声がしないまま、狙撃された。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 武藤 岳 」さんの小説

もっと見る

ミステリの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ