午前九時…。
とある病院の待合室に、私はいる。
一週間前に来た時は、それほど混んではいなかったが、今日は非常に混んでいる。
先週の日曜日、突然体中が痛み、それから熱が40度近くまで出た。
しかし、単身赴任中の為、誰も傍には居なかった…。
こういう時、家族と一緒に暮らしていればと、心から思った。
何度も電話のひとつもかけて、妻の声を聞き、家族から慰めてもらいたい…とさえ思った。
だが、皆に心配させると思うと、どうしても電話をかける事が出来なかった。
それに、もし万が一、素っ気ない態度で電話に出られたりしたら、私は悶え死んでしまうだろう。
それほど、家族の事を本当に愛しているし、本当に衰弱していた…。
一週間経ち、体はかなり軽くなった。
喉はまだ少し痛むが、もう大丈夫だろう。
しかし、こうも混んでいると、他の人からまた移され兼ねなそうではあるが…。
その時は、躊躇なく、家族に電話してみよう。
いや…今日にでもしてみるか。
事後報告も兼ねて…。