つまらない講義を受けた後、携帯の電源をONにした。
メールの受信状況を見ると、案の定サトルからメールが届いている。
(美春が出張で 急に来るらしい 今日はどっか他 泊まってな。
まじごめん!)
予想通りである。めったに電話をしないサトルが、たまの電話をする時と言えば家に帰ってくるなという内容がほとんどだ。
そんな時だけ、ナオはサトルとの関係に後悔を感じ、美春に嫉妬する。
ナオとサトルはただの同棲相手で、サトルと美春は恋人同士。
立場が違いすぎる。
前にサトルが話したコトがある。二人は学生時代から付き合っているが、卒業と同時にサトルの上京によって遠距離になったらしい。
全部を承知した上で、今一緒にいる。美春との邪魔をしてはいけない。いつの間にか、それは暗黙の了解になっていた。
そもそもナオはサトルのことを信頼しているが、決して愛情とかそんなものを感じているわけではない。
美春への嫉妬は二人の関係へのうらやましさの嫉妬である。
…。仕方ないなぁ〜。今日はオールであつしと飲み明かすしかない!!
ナオは気持ちを吹っ切るしかなかった。