「お兄ちゃんっ!」
ソルミは、叫びながら駆け出したが、すぐに迷彩服の自衛隊員に取り抑えられた。
「ここは、封鎖地域です!速やかに・・・!」
「うるさいっ!!!お兄ちゃんがいてんねんっ!あっちにいてんねん!どけっ!ボンクラっ!」
ソルミと自衛隊員が押し問答をしていると、周辺の自衛隊員も応援にかけつけて来た。
ソルミが先程の勢いで蹴りを繰り出すモーションに入ったのを見て、ソンスンがソルミを自衛隊員から引き離した。
「ソン!やめて!お兄ちゃんを探すんやから!」
ソルミは少しパニック気味になっていた。
「ソルミ、家に戻ろう。大丈夫、ウンジュは必ず帰ってくる!」
ソンスンは、自分に言い聞かせる様に、ソルミを諭して、その場からソルミを連れ出した。
翌日になっても、ウンジュは帰宅せず、二人の顔は憔悴していた。
安否が気になるので、テレビはつけていたが、昨日の一件がテロであった事と、かなり強烈な爆弾が使用された為に、死体の損壊が激しく、身元確認ができない状態だという報道が繰り返しされていた。
そして・・・
今回の事件に関して、“ニホンオオカミ”から犯行声明が出されたという事だった。